人に何かを教えるのは、責任も重く大変な仕事ですが、一方楽しくもあります。
相手が外国人だというだけで、最初はけっこう緊張しますし、そのうえ、初めのうちは教え方も慣れていないので、冷や汗の連続です。
それでも、一度始めたら、なかなかやめられない楽しさというものがあります。
なぜなら、会社員時代には味わうことができなかった、具体的な成果がはっきり見えるからなんです。
◎やりがい
「先生、よくわかりました!」
「授業が楽しかったです」
「今日は時間が早くすぎました」
などと言われることが幸せです。
4月に入学した学生が、5月には多少間違いながらも日常会話ができるようになったり、簡単な作文が書けるようになったりするんです。
自分の英語の勉強のことを思い出せば、これはほとんど奇跡!ではないかと思えるほどです。
留学生たちは、最大で2年間、留学生として日本語学校へ通うことができます。この2年の間に、ゼロ初級から始めて、最後には新聞を読んだり、テレビを見たり、プレゼンテーションができるようになってでていきます。
「育てる」ということは大変楽しいことです。
もちろん楽しいことばかりではありません。
うまく教えられない、学生の態度が悪く非協力的、といったときはちょっと辛いです。
最悪は「あの先生はぜんぜんわからない」などと言われたりすることもあります(経験あり!)。
しかし、そんなどん底を経験しながら、次第に「わかりやすい!」などと言ってもらえるようになり、自分の成長にも、ひそかに感動してしまいます。
◎給料
どのぐらい収入があるのか、ということはよく聞かれますが、仕事の仕方次第、ウデ次第でしょうね。
決して「儲かる」商売ではありません。むしろ、お金のことを考えず純粋に「働く喜び」を感じたい、という方向きです。
それでも、ご参考までに私の経験値をご紹介します。
1/最初は、2、3か月研修生として教えますので、ここでは時給1000円でしたね。準備などもあるので、一日中できる仕事ではありません。1時間半教えるために1日かかって準備したりしたので、実質日給1000円でした。
2/つぎは、本格的に非常勤講師になったんですが、試用期間は時給1300円。
1日4時間のクラスなどもしましたが、これは毎日できるものではありません。授業の準備に8時間から10時間ぐらいかかりました。
お金をもらうことはいかに大変なことか実感した時代です。
こんな状態が3か月ぐらいでした。
3/すこしランクアップして、1500円。このころから、平日は何かしら授業を持たせてもらえるようになり、こわいもの知らずで1か月50時間ぐらいしていました。
4/その後、さらにがんばって、少しづつ担当時間も時給も増えて、キャリア3年ぐらいのときは、月によってちがいますが、10万円~20万円いただきました。
この時代は、ひたすら日本語教師の仕事のことばかり四六時中考えていて、他のことは何もしませんでした。朝から晩まで、土曜も日曜も授業の準備(勉強を含めて)をしている状態です。つまり、いっぱいいっぱいの生活です。
このころは、4時間の授業を4時間で準備ができるようになっていました。時給が1700円としても、無給の準備時間が4時間必要なので、実質時給は850円です。
・・このように書いていくと、愚痴のようですが、実は、ぜんぜんお金のことは気にならない状態でした。仕事そのものにただただ必死で、経済面はアタマになかったのです。そもそも、時間がないので、外食も旅行もショッピングもほとんどしない合宿みたいな状態が続いていました。
5/余裕ができて、ノーマルな生活ができるようになったな、と思ったのは、キャリアまる5年たったころです。教材のストックも増えたので、実質時給はもっと増えました。1時間で4時間分の準備ができたりします。
つまり、キャリアを積めば積むほど、準備効率も経済効率も少しづつよくなるわけです。
<まとめ>
私は忙しいこと自体が好きなので、こんな生活でも問題を感じませんでしたが、一般的にはどうでしょうか。
長期的に続けるなら、もっとゆったりと仕事をするほうが、授業の内容も充実させることができるのではないかと思います。
私は、非常勤講師としての労働条件が(働いた分だけもらう)、自分のスタイルにあっていたと思いますが、常勤講師として仕事をするなら、責任ある立場としてまた違った展望、違ったやりがいがでてくるかもしれません。
周囲ではたらいている先生方は、この仕事が好きな若い方もいますし、お子さんが手が離れて時間ができた方、また、転職や退職後の第二の職業として始められる方いろいろです。
若ければ柔軟な精神や理解力があるし、年長なら豊富な知識や経験があって、どんなライフステージでも始められる仕事だと思います。