ブラック・政次が久々の大活躍。憎まれ役がすっかり板について 、直虎すら「だまされていないか?」と時には心配になるほど。政次と直虎の表情の一つ一つが見逃せない緊迫の31回でした。
前回は、今川氏の陰謀で、井伊谷を直轄地にするため、井伊に徳政令を出させようとしたところ、農民たちが大反対。そこへかけつけた直虎に、なんと、政次は刀をつきつけて「俺を信じろ」と静かにつぶやいたのです。政次の意図はいったい・・・。
<あらすじ>
直虎(柴咲コウ)は、結局今川の命に従い徳政令を出さざるをえなかった。これにより、井伊家はお取り潰し、井伊谷は今川のものになってしまった。
しかし、直虎と政次(高橋一生)は、いったん今川に井伊谷を明け渡ししたものの、密かに家康(阿部サダヲ)と組んで井伊家復活をもくろんでいたのだ。
井伊家一族は、家を追われ、川名の隠し里に逃れた。政次は今川の手先として、井伊谷に残り、忠実に徳政令を実行し、今川方の信用を得る。
直虎は、井伊の一同に政次の行動は実はすべて井伊家のためであって、お家のために盾になっているのだと説明する。そして、井伊家をいずれ近いうちに復活させる目論見であることも。そのために、虎松(寺田心)を三河の寺へ送り出し、身の安全を確保する。
やはり、今川氏真(尾上松也)は、手を緩めなかった。今度は、井伊の断絶を図るため、虎松(寺田心)の首を差し出すようにもとめてきたのだ。
政次がとった策は、なんと見知らぬ幼子の首を虎松と偽って今川に差し出すことだった。首見分を求められて尼姿で今川一党(含む政次)の前にでた直虎。政次のしたことを悟って、首をかき抱き、涙ながらに経を唱えるのだった。
ダークサイドに落ちた政次(高橋一生さん!)の感じ悪い演技は相変わらずさえわたっていて、こんなに感じ悪いのに「もっと見たい」という不思議な気持ちにすらなります。
今回の見どころは、ろくに細部を打ち合わせるいとまもないままに、重要な決断を迫られた直虎と、相手方についたふりをして井伊家を責め立てる政次の阿吽の呼吸のごとき連携ぶりです。
これまで、幼馴染ながら「何を考えているのか」とお互いにいぶかしく思っていたはずでしたがここへきて、テレパシーのごとく、相手の気持ちを読んで正しい手を打っていくようになりました。
よく一緒に碁を打っていたのは、テレパシーの練習だったのか・・・?
かつて、政次が父・政直の行動を咎める気持ちになったように、今回は、甥の亥之助(荒井雄斗)が政次が家を裏切ったと責めます。しかし、あくまで真意を明かさない政次。心の内で、かつての父と自分を思い出していたようですね。
そして、今回は、虎松君の名演技が光ってました。虎松の賢さと幼さを的確に演じていました。
<今週の一言> by 政次さん
「案ずるな・・・地獄へは俺が行く」
カッコよすぎます、政次さん。
しかし、井伊のためとはいえ、ヒトゴロシしちゃったんですよね。
大嘘をつく政次を見て、涙を流す直虎。虎松の首ではないのは分かったはずですから、こんなことまでした「鶴」の真情を感じ、身代わりの幼子を哀れに思い、また、「鶴」の彼の行く末をおもんぱかった涙だったのではないでしょうか。
次回の展開が気になります・・・。