感動がいっぱいの最終週、そして最終回。あ~「ひよっこ」がおわっちゃって本当に残念です。
今回の朝ドラは本当に特別で、なんせ私は元茨城県住民だったんで、絶対に見よう!とずっと楽しみにしていたんです。そのうえ主題歌は私の青春MUSICの数々を提供してくれた桑田佳祐さま。そして、主演の有村架純ちゃんも、「あまちゃん」「ビリギャル」以来のファン。これで楽しくないはずはない!
でも本当に特別だったのは、ドラマの内容ですね。有村架純ちゃんは、かわいくて、さわやかで、しかししっかりしていて、いかにも朝ドラな感じのタイプの女優さんなんですが、「谷田部みね子」はちょっと普通の朝ドラと違いました。
「谷田部みね子」はフツーの子。ほかの朝ドラみたいに、社長になったり、アイドルになったりということもなく、まじめに自分の人生を生きてきました。
このドラマが展開された1964年からの4年間というもの、東京へ集団就職して、次にレストランに就職しただけ。その間、特別だったのは、行方不明の父を発見したことぐらい。ま、失恋と、新しい恋人ができたこともありましたけど。・・・たったこれだけで、こ~んなに面白いドラマができちゃうなんて、ただただ驚きです。
<あらすじ★ネタバレ>
すずふり亭では、ヒデ(磯村勇斗)と元治(やついいちろう)が考案した「新メニュー」の試食会。みね子の考えた制服も披露されました。
三男(泉澤祐希)の働く米店では、三男がさおり(伊藤沙莉)から告白の返事を催促されていた。三男はついに「恋人になろう」と自分の気持ちをさおりに告げた。
世津子(菅野美穂)が来てから半年がたったあかね荘では、お茶パーティーが開かれる。世津子(菅野美穂)がみんなに感謝の気持ちを話し、少ししんみりしたところへ、突然早苗(シシド・カフカ)の思い続けた恋人が姿を現し、早苗は彼とサンフランシスコへ旅立っていった。
みね子(有村架純)のもとへ、父・実(沢村一樹)からはがきが届く。みね子が実家へ里帰りすると、家の畑は美しい花畑に・・・。父は、みね子にもう家のための仕送りはしなくてよいと言い、家族みんなにお礼を言われる。皆の心遣いを幸せにおもいながら、少し寂しさも感じるみね子だった。
妹のちよ子(宮原和)の応募で、谷田部家一同は「家族みんなで歌合戦」に出場することになった。みね子の家族は、全員で東京へ出てくることになった。そして本番、みんなで元気に「涙くんさようなら」を歌う。
谷田部家一同は、すずふり亭へ家族みんなで食事に訪れ、店の自慢料理「ハヤシライス」を堪能!そして、ヒデとみね子は家族に結婚したいと許可をもとめ、皆に祝福される。そんな楽しい時間のなか、父・実は突然、昔、店に預けておいた重箱のことをふと思い出したのだった・・・。
ホントに楽しいドラマでしたね。夢がかなったり、パートナーをみつけたり、それぞれがほぼ全面ハッピーなエンディングでした。見ている私たちもほんとに幸せな気持ちになりました。
このドラマの面白さは、まず世界観がきっちりできていること。高度成長真っただ中のこの時代、実は戦争が終わったばっかりで、結構みんな苦労して必死で生きていたはずなんですが、この時代を覚えている人たちにとっては、もう「思い出の時代」。(大変だったけど)もう「楽しかったことしか覚えていない」というぐらいのムカシであって、たいていは懐かしいな-と肯定的に思い出したい時代ですよね。
たとえば、みね子が「結婚したい」といってもあれだけの家族の中には、「反対だ」という人が一人ぐらいいてもおかしくなくて、普通はそのほうが現実的だと思うんですが、何せ、このドラマは幸せなノスタルジーの世界なので、絶対的にもうみんな賛成して祝福しちゃうわけです。
この幸せ感はドラマのポイントになる部分で隅々に用意されていて、みね子がかつて味わったすずふり亭の「ビーフコロッケ」や、今週の「ハヤシライス」。あの「おいしい!」という登場人物の感動は、かつて自分が感じた洋食の味、初めて食べた時の幸せ感を想起させてくれて、それはもう感動的な場面になっちゃうんですね。
父の実さんもまた、この魔法のような幸せ感の中で突然「重箱」のことなどを思い出してしまうわけです。鈴子さんが大切そうに出してきてくれた重箱は、それはもう宝物の箱のように見えました。きっとこのみんなで創りだした幸福感には、何か魔法の力があるに違いないのです。
小さな幸せの一つ一つが、とても大切に想えてくるドラマでした。有名になるとか、お金持ちになるとかではなく、自分の人生を大切に生きていく主人公でしたね。こういうドラマがこれからもたくさん見たいと思いました。