政次の処刑後、今後の展開を心配する声も少なくなかった「おんな城主直虎」。しかし、実は、物語はますます熱くなっています。
なんといっても青年に成長した虎松の登場。歴史上でも、彼は後の徳川四天王に数えられるまでに名を挙げた存在。ドラマの中では菅田将暉が感情豊かにフレッシュに演じています。彼の登場によってドラマはまさに新局面を迎えたといえるでしょう。
一方で直虎さんはちょっと老け込んで存在感が薄くなったかのように思えますが、直虎さんは確実に成熟した「先代」としてむしろ光がましています。
若いときは、思いばかりが先行して勢いと周囲のサポートで力任せに乗り切ってきたものですが、今では、民の本当の幸せを考え、百姓となっても共に作物を育て、民を育てている直虎さんです。その人間性と機知はますます輝き、家康をしても敬意を払わせるような存在になっています。
今回の「直虎」は今まで積み上げてきた物語が、直政というこれからの人物の背景となり、養分となり、新しい物語に改めて大きな感動をもたらしていることがわかった回でした。単純に「直政の成功物語」ではなく、小さな「井伊家」の不確かな時代での懸命な生きざまがあったからこその直政のストーリーがあるのです。
結構、今回感動しました・・・。
<あらすじ★ネタバレ>
虎松(菅田将暉)は、家康(阿部サダヲ)から、井伊の家名で仕えることを許されたが、仕事は草履番にすぎなかった。
一方母のしの(貫地谷しほり)は、虎松が松下の家名をすてたことに激怒。直虎もまた、井伊家を再興することは「誰も望んでいない」と明言し、常慶(和田正人)とともに虎松をいさめに浜松まで足を運ぶ。
虎松は、直虎に「なにゆえそなたに指図されねばならんのだ!」と反抗し、言い合いになる。そこへ家康が現れ、話がしたいと直虎を丁重に別室へ招く。家康は直虎に「虎松を育てたい」と話し、「人を育てる」ことが家の将来を左右する、と自分の考えを話し、直虎と大いに共感しあうのだった。
虎松は、かつて直虎と「お家を守っていこう」と二人で誓ったことを忘れてはいなかった。だからこそ、考えを変えた直虎に反抗的な態度をとっていたのだ。なんとしても井伊の者として名をあげたい虎松は、草履番として「日の本一」を目指し、驚くべき才覚を示し始めた。
今回非凡な覚悟と才覚を示した虎松でしたが、さらに大きな人間性で虎松をつつんだのは、彼を養子にして育て上げた松下源太郎(古舘寛治)です。
虎松が松下の名をすてたことが分かって、いったんは気絶するほどおどろいたのですが、その後、虎松の思いをくみ、むしろ虎松をサポートする態度をみせます。「松下様!」と言いにくそうに話しかける虎松に「呼びにくければ父上でも構わぬぞ」とまで歩み寄ってくれる度量。怒る母・しのに、「なれどそなた、井伊家の再興が、まったく毛筋ほどもうれしくないというわけではあるまい」となだめるやさしさ。ここまですがすがしい人物がほかにいたでしょうか。カッコイイです、松下殿!さすがの虎松も感動して頭を下げるばかりでした・・・。
虎松は「井伊万千代」として新しい道を歩み始めることになりますが、結局彼のスタート地点に立っていたのは直虎その人でした。
<今週の一言>by 虎松クン
・・・いつかのう、井伊を見事に再興し、ゆるぎない大きな家となったとき、殿にこういってやるのだ
「殿、間違いだったといった殿はまちがっておりました!・・・なれど、殿がおらねば、虎松は今日の日を決して迎えられなかったでしょう」と。どんな顔をするかのう、殿は・・・。
ひとまず、草履整理棚の制作と、スーパー草履スライディング投法のマスターにより、家康をはじめ、家臣一同をうならせた万千代クン。
ここから先の活躍も期待できそうです!