ただでは済まないと思っていた今日の第33回ですが、最後の展開はまさに衝撃的!大河ドラマ史上に残る名場面ではないでしょうか。
武田がついに今川を攻め、徳川軍も動き出します。井伊家にとってはまさに正念場。徳川方にはすでに内通済。今川から寝返るつもりであることを悟られないように、今川の目付けとして井伊を乗っ取った格好になっている小野政次。
直虎と政次の井伊家復興をかけた作戦の行方はどうなるのでしょうか。不吉な予感が的中致します。
<あらすじ★ネタバレ>
直虎(柴咲コウ)は、約束通り進軍してきた徳川勢を井伊谷へ受け入れようと迎えに出た。ところが、政次(高橋一生)が門を開けるや否や、徳川勢に向かって矢がいかけられた。異変を感じた直虎は、とりあえず政次に門を閉じさせた。
これは、井伊谷をわがものにしようとする近藤康用(橋本じゅん)の陰謀だった。徳川方に弓を引いた責任を政次に押し付けようとしたのだ。家康(阿部サダヲ)は、はかりごとの気配を察するものの、解決を図る時間がなく、直虎に深く頭を下げ後を近藤に託して掛川攻めに出立していった。
政次はいったん隠し里に逃れたものの、あえて井伊谷に戻り近藤の寝所を襲う。捕らえられた政次は、なぜか直虎に「信じておられたとはおめでたい」とうそぶく。
混乱したまま直虎は、龍雲丸(柳楽優弥)に頼み、政次を救おうとするが政次は牢から動こうとしない。
こうしてついに政次は罪人として磔の刑に処せられることになった。直虎は政次からことづけられた白い碁石を握ったまま、どうするべきか考え続ける。そして処刑の日、直虎は自ら槍を握って政次を・・・。
悪役として嫌われ続けながらも井伊家と直虎を守り続けてきた政次さん。どうして直虎と一緒に逃げないんだ!とイライラしておりましたが、結局進んで自らを犠牲にしてしまいました。
普通は誰でもとにかく自分の無事を考えるものですが、彼は先の先を読んだ結果、「自分の首ですませる」ことが最も良い、と判断してしまったのです。
直虎は、なんとか助けたいという気持ちで努力しますが、龍雲丸から政次の話を聞かされ、白い碁石を渡されたとき、政次の強い意志を感じ取ります。
直虎は井伊家再興の道を開くことを考えました。それは、大切な政次と最後の連係プレイを行うこと。「当主をたばかった家老」を自らの手で地獄へ送ることでした。二人は、直接話し合うことなく、処刑し、処刑される役割を見事に演じたのでした。直虎が完全に自らの意思をくんでいたことを理解した政次は、最期のときに幸せの笑みを浮かべたのです。
二人の最後の会話は、互いを罵倒するものでしたが、実は深い愛に満ち溢れていることがわかるものでした。
直虎「地獄へ落ちろ、小野但馬、地獄へ。ようもここまでわれを欺いてくれたな。遠江一、日の本一の卑怯者と未来永劫語り伝えてやるわ」
政次「笑止。未来など、もとよりおなご頼りの井伊に、未来などあると思うのか。生き抜けるなどと思うておるのか。家老ごときにたやすくたばかられるような愚かな井伊が、やれるものならやってみよ。地獄の底から見届け・・・」
言いたいことと、言っていることが、すべて逆になった見事なスクリプトです。
そして、柴咲コウさん、高橋一生さんの名演にありがとうと言いたいです!